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潰瘍性大腸炎とクローン病の違いを医師が徹底解説!知っておきたい難病の基礎知識
なぜお腹の不調が続くのか?
最近、「下痢がなかなか治らない」「血便が出た」「腹痛が繰り返す」といった症状に悩まされていませんか?
もしこれらの不調が長期間続くなら、それは単なる体調不良ではなく、IBD(炎症性腸疾患)かもしれません。
IBDは、主に潰瘍性大腸炎(かいようせいだいちょうえん)とクローン病の二つに分けられます。どちらも腸管に慢性的な炎症が起こる病気ですが、その性質や治療法は大きく異なります。特に、患者数が増加している潰瘍性大腸炎は、国の定める指定難病の一つです。進行する前に適切な診断と治療を開始することが、あなたの日常生活(QOL)を守る鍵となります。
宝塚市の当院では、内視鏡専門医としてこれらの難病の正確な診断と最新の治療に力を入れています。このコラムでは、特に患者数の多い潰瘍性大腸炎を中心に、クローン病との違いや、不安を解消するための基礎知識を分かりやすく解説します!
潰瘍性大腸炎は国の定める「指定難病」です
潰瘍性大腸炎は、免疫システムの異常により、大腸に慢性的な炎症が起こる病気です。現在のところ、完治は難しいものの、適切な治療によって症状が落ち着いた状態(寛解)を長く維持することが十分可能です。しかし、治療を中断したり、診断が遅れたりすると、炎症が進行し、重度の合併症や大腸がんのリスクが高まるため、生涯にわたる専門的な管理が必要です。
潰瘍性大腸炎は、20代~30代の比較的若い世代に発症のピークがあるのが特徴です。仕事や学業が忙しい時期と重なるため、「一時的な胃腸炎だろう」「ストレスのせいだ」と自己判断してしまい、受診が遅れるケースが少なくありません。
初期症状は?
IBDの初期には、以下の症状が多く見られます。下痢(泥状便や水様便)
・血便・粘血便(特に潰瘍性大腸炎)
・腹痛(排便に伴うものが多い)
・発熱
・体重減少や貧血
これらの症状は、どちらの病気にも共通して見られますが、特に20代~30代の比較的若い世代に当てはまる方は、自己判断せずに専門医にご相談ください。
潰瘍性大腸炎とクローン病の違い
同じIBDでも、潰瘍性大腸炎とクローン病は炎症を起こす場所や深さが異なります。
この違いが、診断や治療方針を決める上で最も重要になります。
| 項目 | 潰瘍性大腸炎 (UC) | クローン病 |
| 炎症の場所 | 大腸のみ | 口から肛門までの消化管全域 |
| 炎症の深さ | 腸の粘膜層(表面)のみ | 腸管壁の全層(深くまで) |
| 炎症の広がり | 連続的に広がる | 非連続的(飛び石状) |
| 主な発症年齢 | 20代~30代に最初のピーク | 10代後半~20代にピーク |
| 治療の違い | 大腸をターゲットにした治療が中心 | 全身への薬物療法、狭窄・膿瘍に対する外科手術も |
診断の決め手はこれ!「大腸カメラ検査」の重要性
潰瘍性大腸炎もクローン病も、血液検査や便検査で異常を指摘されることはありますが、決定的な診断と病気の正確な範囲や重症度を把握するためには、内視鏡検査(大腸カメラ検査)が不可欠です。
1. 病変の直接観察(潰瘍性大腸炎の確定診断)
潰瘍性大腸炎の場合、大腸カメラで腸の粘膜を直接観察することで、粘膜の炎症(発赤・浮腫)、びらん、そして特徴的な潰瘍の有無や広がりを把握できます。
潰瘍性大腸炎: 炎症が大腸の奥から手前に向かって連続的に広がる様子を確認します。
クローン病: 炎症が飛び飛び(非連続的)に存在し、深い潰瘍や特徴的な病変(敷石像)がないかを確認します。
2. 組織の一部採取(生検)
内視鏡検査の際に、炎症が起きている部分の粘膜を少量採取する生検を行います。この組織を詳しく病理検査することで、他の病気(感染性腸炎など)ではないことを確認し、潰瘍性大腸炎の確定診断に至ります。
3. 治療効果の判定と合併症のチェック
治療を開始した後も、定期的な大腸カメラ検査が必要です。
症状が落ち着いていても、内視鏡的に炎症が残っていないか(真の寛解か)を評価します。
長期の罹患によりリスクが高まる大腸がんなどの合併症がないかを確認します。
潰瘍性大腸炎の最新治療と「完治」について
潰瘍性大腸炎における治療の目標は「寛解の維持」です。
残念ながら、現在のところ潰瘍性大腸炎を完治させる治療法は確立されていません。しかし、適切な治療によって寛解(症状がなく、内視鏡で見ても炎症が落ち着いている状態)を長く続けることが可能です。
当院での主な治療
・5-ASA製剤(抗炎症薬): 軽症~中等症の寛解導入・維持に最も基本的なお薬です。
・ステロイド・免疫調節薬: 中等症~重症の活動期の炎症を抑えます。
・生物学的製剤・分子標的薬: 従来の治療が効きにくい難治例に対し、免疫システムに直接働きかける最新の注射・点滴治療です。
当院では、患者様一人ひとりの病状や生活スタイルに合わせて、これらを組み合わせた最適な治療法をご提案しています。
また、より専門的な治療が必要と判断される場合や、より詳細な検査が必要な場合には、患者様が迅速かつスムーズに適切な治療を受けられるよう、地域の総合病院や大学病院などの専門医療機関と密接な連携体制を構築しております。
寛解期を維持するための食事と生活習慣
患者様から多くご質問いただくのが食事とストレスについてです。
炎症が強く出ている活動期には、腸に負担をかける以下の食品を避ける必要があります。
・脂質の多いもの(揚げ物、肉の脂身、バターなど)
・刺激物(香辛料、カフェイン、アルコール)
・消化しにくいもの(不溶性食物繊維が多いキノコ類、海藻類、ごぼうなど)
寛解期に入れば食事の制限は緩やかになりますが、暴飲暴食や脂質の過剰摂取は再燃のきっかけになり得るため、腸に優しい食生活を心がけましょう。
よくある質問
Q.ヨーグルトやヤクルトなどの乳酸菌は効果がありますか?
A.腸内環境を整える乳酸菌(プロバイオティクス)は、寛解期において、腸内細菌バランスを整える目的で推奨されることがあります。
しかし、活動期には、乳製品が刺激になったり、症状が悪化したりするケースもあります。ヤクルトなども同様に、体質や病状の時期によって効果は異なるため、自己判断せず、必ず主治医に相談しながら試してください。
Q.ストレスは炎症性腸疾患(IBD)を悪化させますか?
A.ストレスは病気の直接的な原因ではありませんが、症状を悪化させるきっかけ(再燃トリガー)の一つとして深く関わっていることが知られています。
ストレスによって自律神経が乱れると、腸の動きや血流に影響を与え、炎症が悪化しやすくなります。規則正しい生活を送り、十分な休養をとることも、重要な治療の一環であることを忘れないでください。
潰瘍性大腸炎は長く付き合っていく病気だからこそ、正確な診断と、信頼できる専門医による継続的な治療が不可欠です。当院では、苦痛の少ない内視鏡検査による正確な診断と、患者様の生活の質を重視した最新の治療をご提供しています。「これは潰瘍性大腸炎の症状だろうか?」「今の治療で本当に大丈夫だろうか?」
お腹の不調で少しでも不安を感じたら、宝塚市の当院へご相談ください。

